2023年5月

漢方の暮らし 第28話 肝に血液を貯める

2023年5月27日

 「肝」は血液の貯蔵庫です。
「肝」のワンチームの働きはストレス対策だけでなく、血液を貯蔵して、体全体の血液の量を調節するという大事な働きがあるのです。
 「肝」の血液貯蔵は寝ている時間、「丑の刻」(午後11時~午前3時)に一番盛んになるのです。
この時刻の睡眠がおろそかになると、「肝の蔵血」が少なくなってしまうのです。

 「肝」は経絡という電線のような連絡網で目や爪、筋肉と連絡を取り合っています。
そこで「肝」に貯蔵している血液が不足してしまうと「五臓六腑」に血液が届かなくなってしまいます。
疲れ目、目の乾き、筋のひきつりや萎、震え、痺れ、爪がもろくなる、などの影響がでます。
 女性では、生理の遅れ、生理期間が短くなる、血量が減る、無月経などの症状が現れます。

 良い睡眠をとって、「肝の蔵血作用」を回復することが大切です。

 西洋医学でいう「貧血」と漢方でいう「血虚」は、微妙に違います。

 「貧血」とは血期中の赤血球や、それに含まれる「ヘモグロビン」が少なり、体中が酸素不足になっておこるものです。
つまり組織や臓器に酸素や栄養分を運ぶ成分が不足している状態です。「貧血」は血液の質の問題です。

 これに対して「血虚」は成分が不足している場合もありますが、量の不足も含まれるのです。
例えばショックなどで脳貧血を起こしたり、低血圧で頭がふらふらするのも「血虚」です。

 ただ、いわゆる貧血タイプの方は、「血虚」になりやすいのも事実です。

漢方の暮らし 第27話 心と身体は切り離せない

2023年5月23日

 最近はイライラ、憂鬱、不安などから起こる不調が増えています。
頭痛や便秘、下痢などごく一般的な不調はもとより、ストレス性〇〇〇といった精神的な不調から起こる病気も多く相談を受けます。

 西洋医学ではストレスや精神的な不調の対策はもっぱら「脳」に責任をもたせています。

 一方、漢方ではストレスや精神的な不調は「五臓六腑」が責任を負うと考えます。
「五臓」は単独に働いているのでなく、助け合ったり、けん制しあったりしながら、チームのバランスをとっているのです。
 人間の体には、「五臓」全体で「脳」の存在をカバーする仕組みがあると言えます。
ストレスなどの感情の問題は「肝」の受け持ちです。
不安感などの精神的な問題は「心」が担当します。
外からの雨風は「肺」が守ります。
老化や免疫や精力は「腎」の担当です。
そしてすべての気血を作り出しのは「脾」の働きです。

 「脳」だけに頼らなくてもいいのです。

 東洋医学では古くから「心身一如」という教えが基本になっています。
身体と精神は一体になっていて、身体が変われば心が変わり、逆に心が身体に影響を与えるという意味です。

 現代のような複雑な社会では身体と精神の間に脳が介在することで、心身も不調にしているケースが多くなっています。
 ヨガ、気功、座禅、太極拳、合気道、瞑想・・・・・すべて「心」と「体」を整える方法です。

 そして、究極の目的は頭でいろいろ考えることではなく、脳を空っぽにして、
精神的、身体的共に一体化となって穏やかな状態にすることが一番大事と考えます。


 漢方の暮らし 第26話 ストレスを上手に追い払いましょう

2023年5月19日

 現代はパワハラやセクハラ、学校や職場での苛めなど人間関係のトラブルが多くなっています。
 上司に無理難題を言われて頭にくる、先輩がいつも自分勝手なことばかりしている、同僚に気の合わない人がいる、夫が育児に協力してくれない、姑や小姑の監修がうるさい・・・・・。
 あなたはそのような時に、怒ったり、泣いたり、喚いたり、言い返したりできますか?

 怒るだけのパワーがない、結果にことを考えると怖くて怒れない、イライラしても今は我慢する。
そんな我慢ばかりの生活を送っていると、大脳と自律神経が乱れてしまいます。

 漢方ではストレスは「実証」といって、身体に余分なものが入って邪魔している状態と考えます。
そこで「気帯」という余分なものを身体から排出してしまえばよいわけです。

 上手にストレスを追い払う方法がいくつかあります。
 ・ カラオケはおすすめ
 ・ ゲップやオナラは、遠慮しない
 ・ 映画をで、思いっきり笑い、泣きましょう
 ・ 友達とおしゃべりしましょう
 ・ イライラにはタンパク質を食べましょう

    

漢方の暮らし 第25話 苦味は心をつよくする

2023年5月16日

 春の山菜には苦みのあるものが多いです。
ウド、フキ、ワラビ、つくし、セリ、タンポポなどはちょっぴりほろ苦く、子供のころは苦手ですね。
大人になって酢味噌和えにしていただくと、ほろ苦さが逆においしく感じられるようになりますね。

 春の苦味は「清熱解毒」という効果があるものが多いです。
余分な熱を冷まして身体を解毒してくれます。
タンポポやコブシ、つくしなどは鼻づまりにお勧めです。
山菜もまたデトックスに効果があります。
春野菜、山菜など旬の食べ物にはそれぞれの意味があるのです。

 「苦味」「心」の働きを良くします。
相生、相克のぶんるいでいうと、「肝」「心」はお互いに助け合う関係で、苦味は肝の働きを応援してくれる関係になります。

漢方の暮らし 第24話 立夏の日には

2023年5月13日

 立夏は、昼と夜の長さ同じになる春分と最も昼の長い日である夏至の中間にあたる日です。
新緑の季節で、端午の節句やゴールデンウイークが立夏に重なります。

 暦の上ではこの日から夏が始まる日といわれますが、日本の気候ではもう少し先になります。
中国には梅雨がないので、暑さのピークは日本より少し早くなります。

 夏といっても本格的な暑さはまだまだ先のことで、季節的に暑くも寒さもなく、湿度も低く過ごしやすい季節です。
長い休みに重なるので、旅行やスポーツ、レジャーに絶好な季節を楽しみましょう。

 春の野菜はマグネシウムが多く含まれ、冬の間にため込んでいた宿便を出す効果があります。

 ほうれん草、ニラ、春菊、新キャベツ・・・・・春にはおいしそうな野菜たちが店頭に一斉に出回ります。
 この野菜たちは前の年に種がまかれたり苗を植え付けられたものです。
寒い間は土の中でじっと養分を蓄え、春になって暖かくなると一斉に芽を吹いて大きくなったものです。
 人間も同じですね。
冬の間は活動を休めて、春の活動に備えてメンテナンスに励んでいました。
 春の野菜は、そんな私たちの身体に冬の間にため込んでいた宿便を出してくれる働きがあるのです。
旬の食べ物には何かしらお意味があるということを、漢方は教えてくれます。

漢方の暮らし 第22話 春は酸っぱいものをちょっぴり

2023年5月8日

 春は五臓の色は青、味は酸です。
きんかん、カボス、みかん、キウイフルーツなど酸っぱいものは「肝」を補う食品として効果があります。

 ただし酸っぱいものはとりすぎてはいけません。
「肝の気」はエスカレートして興奮すぎると、胃腸の働きを低下させるからです。
五臓六腑のチームの中で、とは助け合う関係(母子関係・相生)ですが、胃腸とはけん制しあう関係(相克)です。
木克土といって、肝(木)が根を張りすぎると、胃腸(土)の養分が奪われてしまうのです。
これはいわゆる神経性胃炎などの原因になるので注意してください。

 紫蘇やハッカ、ミカンの皮(陳皮)はストレスを取り除く漢方の材料にも使われています。
普段の料理に是非ご利用ください。
 生姜、ネギ、ニラ、ニンニク、セロリ、春菊、セリなどの香味野菜は「気」の渋滞を取り除く働きがあるので、
イライラの傾向がある人は普段の料理に加えるとよいです。
 またコショウ、唐辛子などのスパイスも刺激作用で「気」の渋滞を解消する働きがあります。

 ただし、これらの刺激物を取りすぎると、熱を取り除くラジエーターの働き(陰)を消耗しやすいです。
陰血の不足は陰虚となり、その特徴は、顔や手足が火照る、喉が渇く、興奮しやすい、寝汗が出るなどの症状が出てきます。
この症状は、熱感があることで、自分が元気であると勘違いしやすく空元気の場合があります。
特に男性の場合、誤解を生じやすい症状がありますので注意してください。

 香味野菜やスパイスで上手に「気」を発散して、春を楽しみましょう。


「2023春の葡萄酒まつり」

2023年5月5日

「2023春の葡萄酒まつり」に参加し、仲間たちと一緒になって楽しんできました。
 愛知県小牧産ぶどう100%の新作ワインを飲み、
小牧ワイナリーカフェやキッチンカーの豊富なフードを食べ、、スタンプラリー、バードウォッチングなどにも参加させていただきました。
 また、仲間と一緒になって、受付のお手伝い、仲間が作ったクッキー・シフォンケーキ・革製品・農作物などの販売をお手伝いさせていただきました。
 ゴールデンウィーク、暖かい日々のんびりと、仲間と一緒になって過ごさせていただきました。

 社会福祉法人AJU自立の家「小牧ワイナリー」
自分らしく地域で生きるために、葡萄を作ってワインを造る小牧ワイナリーは、障がいのある人がぶどうつくりワインを販売する「ななつぼし葡萄酒工房」です。

漢方の暮らし 八十八夜の日には

2023年5月1日

 一年をまず春分、夏至、秋分、冬至という四季に分け、その間をさらに立春、立夏、立秋、立冬に分けたものが八節季、更にそれぞれの間を2つに分けて合計24節に分けたのが二十四節季です。
 しかし、この24の節季は中国で作られたものなので、日本の気候に合わない部分もあります。
そこで日本ではそれを補足するために、24節の中に雑節という季節の節目があります。
「八十八夜」(5月1~2日頃)はその雑節という分類に入ります。
 雑節にはその他、二百十日、入梅、節分、彼岸、半夏生などがあります。
その背景には農業との深い関係があるのです。例えば「八十八夜」ではお茶摘みなど。
 今では、天気予報で天気や温度の情報が得られます。
しかし昔の農家の人たちは、雑節によって季節の情報を取り入れていたのです。

 昔の人たちは楽しい季節でも、辛い季節でも、臨機応変に雑節を乗り越えてきたのです。
きめ細かい季節の移り変わりを雑節という言葉で表現してきた昔の人たちの感性です。

 季節の移り変わりをより適確に把握するため設けられた特別な節目の日です。

・ 節分 立春の前日(2月2~4日頃)         季節の変わり目に生じる邪気を払う
・ 彼岸 春分と秋分をそれぞれ中日とする7日間    先祖に感謝するなど
・ 社日 春分と秋分にそれぞれ最も近い戊の日     土地の守護神に参拝・感謝する
・ 八十八夜 立春から88日目             遅霜に関する注意を喚起する
・ 入梅 立春から135日目              梅雨入り時期を前もって示す
・ 半夏生 夏至から11日目              農作業が一段落する
・ 土用 立春、立夏、立秋、立冬をそれぞれの前確18日間 土の気が盛んになる
・ 二百十日 立春から210日目            天候が悪くなる農家の三大厄日の一つ
・ 二百二十日 立春から220日目           天候が悪くなる農家の三大厄日の一つ